名古屋市昭和区にアンテナショップをオープン そのキッカケは?-日比野陶器株式会社

日比野陶器株式会社

市内坂上町にて陶磁器卸売業を営む日比野陶器株式会社では、名古屋市昭和区にアンテナショップ「日比野ポタリー」をオープンされました。業務用食器の卸売が本業の企業がなぜ小売店をオープンされたのか、その理由やねらい、今後の目標について、日比野陶器株式会社代表取締役の日比野哲也さんにお聞きしました。

― なぜアンテナショップを始めたのですか?

キッカケは、新型コロナウイルス感染症の影響でした。当社は業務用に陶磁器食器の卸売しておりますので、業績への影響は甚大でした。
とても苦しい状況のなか、2021年春の陶器まつりに出店する機会をいただきました。元より業務用の商品ばかりなので、一般の方には売れるかどうか、あまり期待はせず、祭りを楽しむくらいの軽い気持ちで出店しました。しかし思いがけない様な良い反応がありました。業務用卸売業では、直に消費者と接する機会はほとんどありません。陶器まつりでは、お客様が弊社の商品を手に取って吟味して喜んで購入される姿を目の当たりにし、卸売りでは味わえない楽しさがありました。
このようなキッカケから、一般の方にも器を直に手に取ってご購入出来る場所があればいいなと思い始めました。
弊社の経営理念は、「器を通して幸せの創造」です。今までの業務用の卸売りだけではなく、一般の方への小売りのアプローチでも理念に沿っていると思い、オンラインショップの開設、アンテナショップのオープンに向けて動き出しました。

― オープンに向けた取組み、大変だったことは?

具体的には、事業再構築補助金を利用したことが大きなポイントだと思っています。東濃信用金庫さんから紹介されて申請し、無事採択されてアンテナショップのオープンに到りました。
オンラインショップとアンテナショップは、「日比野ポタリー」の名称で営業しています。小売店をやるのは初めてですから、準備はとても大変で、くたびれましたね(笑)。
店舗のスタッフは、新たに雇用しています。弊社には小売のノウハウが全くないため、外部から取り入れる意味合いで新規に雇用しました。
当然ながら、新規のスタッフは焼き物に詳しくありませんでした。なので、地域の窯元さんを一緒に周り、焼き物・美濃焼について知ってもらうことから始めました。今では店舗の運営は現地のスタッフにほぼ任せています。スタッフが学ぶ姿・店舗を運営する姿を見ていると、本当にありがたいなぁと感じます。

― 実際営業してみていかがですか?

今は、まだまだだと思っています。店舗は建物の二階にあるため、歩いていて気づいてもらえる立地ではありません。まずは、近隣の方に知ってもらう事が今期の方針です。
店舗を営業が始まると、新たな気付きはたくさんあります。
特に、購入される商品のサイズ感から、業務用との違いを感じています。業務用では27・28センチの大皿をよく取り扱いますが、このサイズ感はあまり動きません。売れ行きや顧客対応をするスタッフから、どのようなものを好まれるか把握するようにしています。
また、一般の方から「○○という店で使われている食器がほしい」という声を聴きます。なんでウチにあるって知ってるの?と驚くことがあります。弊社の製品を好んで探してくださる方が世の中にいらっしゃる事は嬉しいことですね。

― 今後の取組みは?

お客様の要望を応える準備をしています。まずはギフトです。お客様の好みに合わせてギフトにする。まさにリアル店舗だから出来る事です。
また、お客様から要望のあった器から商品開発をしていきたいです、スタッフから情報が上がってきますので、具体的には、酒器や豆皿からスタートする予定です。
今回の取組みに限ったことではありませんが、私の代で実現したいことが二つあります。
一つは、美濃焼をさらに発信できる場所として、東京にショールームを持ちたいですね
もう一つは、弊社商品を海外展開です。業界では世界最大の展示会アンビエンテに出展したいです。世界中のホテル・レストランに使ってもらい、美濃焼のポテンシャルの高さを知ってもらえたらなと思います。昔のように世界中から地元にバイヤーが来て、産地が盛り上がれば最高ですね。実際には弊社1社だけで産地全体を盛り上げる力はありません。
まずは自社の活動は小さな点ですが点が線となり、最終的には地場が盛り上がればいいですね

 

取材先

日比野陶器株式会社
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取材・執筆担当

経営支援員 木次(コツギ)