身近なデジタル化事例紹介【vol.5】会計・税務編~税理士に聞いてみた~
「デジタル化、デジタルトランスフォーメーション(DX)、言葉は分かるがどうやるの?」
こんな悩みをよくお聞きします。お悩みに応えるため、多治見市内の身近なデジタル化事例をご紹介しお役立ていただこうと考え、取材して参りました!今回は、バックオフィス業務のデジタル化に着目し、会計・税務のデジタル化についてのお考えを、税理士の佐藤吉英先生にお聞きしました。
デジタル化POINT 時は金なり 手間を省いて、お互いに時間を有益に使いましょう
事業者のみなさまは、税理士などの士業へ業務を依頼されることがあると思います。どのようなことを依頼されているか、今一度考えてみてください。
ご依頼されることは、本業ではなく付随する事務や手続きがほとんどだと思います。私たち税理士にご依頼いただくことでは、直接的に利益は生まれません。
事業には、しなくて済むのであればしたくないこと、が付きまといます。直接の利益を生みませんので、利益を生むことだけを考えればムダな時間です。なので、ムダを省く、ムダを代行してもらう、という考え方をするのですが、デジタル化が進んだ今、改めてその考えに立ち返るべきだと思っています。
みなさまは、税理士にどのように情報を渡していますか?取引先から渡された請求書や領収書、レシートや通帳を、そのまま渡していますか?
私たち税理士は、お任せいただく税務申告について、当然ながら責任持って対応させていただきます。顧問先から証憑書類を全て書面で提供いただければ、責任を持って情報を拾い、税務申告に利用します。必要なものがあれば、原本やコピーをいただき、不足があれば探していただくなど、正確な税務申告のために尽力します。
しかし、一見すると正確な税務申告のために尽くしているように感じますが、かなりのムダがあります。決して私たち税理士にとってのムダではなく、お互いにとってのムダです。このムダについては、インターネットバンキングを例に考えると理解がしやすいです。
インターネットバンキングは、大きな利点が二つあります。一つは銀行窓口に行く手間が省けるという点です。営業時間中に銀行窓口に行き、事務処理を待つ時間や移動時間を短縮できます。
二つ目は、会計処理を省略できるという利点です。会計上での預金管理を例に考えます。通帳をもとに預金管理を行う場合、事業者もしくは税理士が通帳の1行1行を会計システムに入力していきます。税理士との契約によりますが、どちらかがその入力事務を負担しています。
インターネットバンキングを有効に活用した場合、預金口座の取引情報を会計システムに連動すれば、事業者も税理士もデータ入力をする必要がなくなります。デジタル化が進んだことで、お互いの手間が省くことができるようになっているのです。
繰り返しになりますが、利益を生まない手間は、省くことや代行してもらう考え方が必要です。デジタル化が進んだ今では、私たち税理士に代行させるのではなく、事業者からも税理士からもムダを省くことができます。このような考え方が、今後は必要になると考えています。
先ほどは、インターネットバンキングでの預金管理を例に挙げました。当然それだけではなく、レジ売上や売掛金、買掛金の管理など、同様のデジタル化が見込めるポイントが多数あります。預金管理と同様に、売上入力や請求した時点からデジタル化ができれば、お互いのムダを省くことができるのです。
では、事業者も税理士もお互いにムダが省けたのちには、どうするのが理想でしょうか?事業者のみなさまは、税理士に渡す資料を用意していた時間で、営業活動を1件でもすれば利益につながると思います。私たち税理士は、書面から情報を拾いデータ入力していた時間で、業況を元にご提案を考えたいと思います。
私は、多治見商工会議所で個人事業者向けの記帳指導をご依頼いただき、対応をしています。その中でも、事業者がクラウド会計やインターネットバンキングを有効に活用されたことで、指導時間の半分も掛からずに指導が終わることがあります。そのような場合には、お互いに業績を確認しながら、今後の事業方針について話すようにしています。記帳指導にはあと2名の税理士が対応しておりますが、きっと同じ対応をしていると思います。デジタル化をした上でこのような時間の使い方をすることが、士業との関係性の理想形だと思っています。
「時は金なり」と言いますが、今は時間をお金で買う時代です。デジタル化を進めるためにも時間や費用がかかりますが、IT導入補助金などの補助金の活用もご検討されるとよいと思います。お金で時間を買い、買った時間で更にお金を生んでいきましょう。
取材先
佐藤吉英税理士事務所
代表 佐藤吉英
〒507-0807 岐阜県岐阜県多治見市生田町3-49
TEL:0572-26-9801
FAX:0572-26-9802
多治見商工会議所では、これからデジタル化を始めたい企業を募集しています。デジタル化の効用は、ムダがなくなること・業務の効率が良くなること・サービスの質が上がること、など様々なことが想定できます。商工会議所と共に、デジタル化の検討を始めましょう。