身近なデジタル化事例⑦-有限会社ひしや
身近なデジタル化事例⑦-有限会社ひしや
市内小路町で文具小売・カフェを営業している有限会社ひしやは、この度、販売管理システムの刷新と業務効率化に取り組みました。商工会議所では、この取組みについて約1年間支援してまいりました。この取組みについて、有限会社ひしやの大橋宏さんにインタビューをしました。
- デジタル化のキッカケは何ですか
キッカケは、システムの老朽化です。
弊社では、請求書や見積書の発行を、長らく古いPCの古いシステムで行っていました。弊社用に作られたシステムをwindowsXPのPCで使用していたんです。システム業者から、「新しいPCへの移行ができないから、全くの新規切替えが必要」と伝えられて、困っていました。
このことを、漠然と商工会議所に相談したことからスタートしました。その相談から、システムの更新と一緒に業務改善に取り組むことになりました。
- システム刷新だけでなく、同時に業務改善もしたんですね
これまでシステムで行っていた帳票発行だけでなく、「この機会に事業を効率よくしてみませんか?」という提案を受けて、「確かに…?」と思って頼ってみることにしました。
システムを新しくするとしても、自分だけでは何を使えばいいか分かりません。どう変わるのが理想なのかということも、おぼろげにしか分からなかったと思います。なので、誰かに頼るしかなかったですね。商工会議所に頼り、ソフトピアジャパンという団体とともに支援をしていただきました。
- 苦労したことは何ですか
「何を使って、どう変えるのか」を決めることですね。商工会議所とソフトピアジャパンの職員さんには、何回も弊社に来ていただいて打合せをしました。すぐに決まらなかったので、不安でした。振り返ると、とても大事なことだから繰り返し打合せが必要だったんだな、と感じています。
最終的に、「スマレジ」と「セイキューン+」というアプリを使用することに決まりました。この決断に至るまで、一筋縄では行かなかったんですよ!
しかも、システムとPCの更新ではなくレジを更新したんです。IT導入補助金という補助金も利用したので、負担は押さえられましたが、まさかレジを変えることになるとは…
- 請求書発行のために、レジを更新したのですか?
弊社の問題は、システムの老朽化以外に、
- 売上情報を十分に分析できていないこと。
- 台帳や伝票記入を手書きで行っており、転記作業が多いこと。
- 在庫管理が十分にできていないこと。
というような点がありました。
弊社で在庫がある商品数は、1万点程度あります。商品別の販売履歴をデータで取れていなければ、人力で売れ筋を読み解くことは困難です。また、日々の伝票や台帳作成にも時間が掛かっていたので、販売履歴を分析する時間が確保しづらい状況でした。
その点を改善するためには、レジで販売履歴をデータにすることが必要、との提案を受けました。そのデータが、会計や在庫の管理に利用でき、効率向上の要になるとのことでした。
パソコンとシステムが古くて困っていたところから始まり、レジを変えることになるとは、全く想像していませんでしたね。
- 取り組みの中で、大切だと感じたことは何ですか
「自社の業務を見直すこと」ですね。
今回、弊社は設備の更新と同時に業務改善に取り組みました。そのなかで重要だったことは、自社の業務を整理することでした。
選択するツールは、自社の業務に合うものを選ばなくてはいけません。その中で、「この業務は簡単にならないか」「これはムダじゃないか」と考えるキッカケがありました。やはり、業務のムダに着目するためにも、自社の業務を改めて整理することは必要ですね。
また、商工会議所のような第三者に意見をもらうことも重要だと思います。自分たちでは当たり前のことでも、他人が見て気づくことはあると思います。
- 業務はどのように変わりましたか
売上を、店頭・卸売に関わらずレジに入力するように変わりました。取引のスタート地点でデータ化されるので、はじめのレジ入力以降、納品書・請求書などの発行のためにデータ入力は必要ありません。「二重入力・転記のムダが無くなるってこういうことか」と。これがデジタル化の恩恵ですね。
- 振り返って一言!
提案に沿ってシステムを切り替えてみて、正直なところ、今までとは違う苦労があります。その苦労の上で、新しくできるようになったこともあります。これからは売れ筋の分析や在庫の適切化に取り組んで、戦略的に経営を進めていきたいと思っています。とりあえずで相談してみてよかったです!!
取材先について
喫茶 ひしや文具店 (有限会社ひしや)
多治見市小路町38番地
0572-22-0392
営業時間:9:00~18:30
定休日:日曜日
取材・支援担当
多治見商工会議所 木次(コツギ)