労働集約産業・属人化からの脱却 光洋陶器株式会社 DX視察レポート
多治見商工会議所では、先進的なDX・デジタル技術活用の取組みを学ぶ視察事業を実施しています。その第2回として、10月6日に光洋陶器株式会社の視察を行いました。今回は、その視察の様子と、光洋陶器株式会社で行われている取組みについてご紹介します。
視察先企業紹介:光洋陶器株式会社
光洋陶器㈱は、土岐市泉町久尻にある陶磁器食器の製造会社です。自社商品を中心に1万2千点以上の製品を一貫生産し、地元商社を通じて販売されています。
光洋陶器㈱は、製造現場や生産管理の先進化・効率化の優れた事例を表彰する「スマートファクトリー2019」を受賞されました。工場内の機器をインターネットでつなぐIoTやロボットを駆使して生産性向上や省人化を図り、伝統産業で工場を「見える化」した取組みが評価されました。
今回の視察では、上記表彰で着目された工場の「見える化」の内容だけではなく、受発注管理や人事労務管理などのデジタル化の取組みについても着目した視察を実施しました。
視察レポート ポイント① 労働集約産業・属人化からの脱却
光洋陶器㈱の取り組みは、海外生産との差別化・人手不足や職人の高齢化への対応の2点が経営課題、と考えたことから始まっています。経営方針を「多品種少量生産の徹底」と定め、大きく舵を切られました。
取り組みを開始される以前では、いわゆる労働集約産業の状態でした。人が動かなければ製品が出来上がらないことや、特定の人しか出来ない作業があること(属人化)が、変化を妨げる要因でした。この労働集約産業・属人化からの脱却、という考え方が、光洋陶器㈱における製造等の基幹業務や、顧客対応業務、間接業務のデジタル化につながっていきます。
視察レポート ポイント② 見える化・標準化・自動化の追求
特定の人しか扱えない仕組みでは、労働集約産業・属人化からの脱却は成し遂げられません。どのような仕組み・基準になっているのか、オープンにする必要があります。具体例として、生産計画の立案や製造技術のロボット化が挙げられます。
光洋陶器㈱では、在庫減少から生産計画・原料発注・実績集計・在庫反映という工程の半自動化がなされています。定めた基準により、システムがアラートを出し、人が気づかない・判断に迷う、ということなく工程が進みます。これは、生産に関わる基準を標準化することにより実現できています。
取組みでとりわけ優れているのが、ロボットによる製造・加工です。熟練の職人しか出来ない作業をオープンに(見える化)し、データ化(標準化)して、ロボットに置き換えて(自動化)しています。多大な投資だったようですが、業界内で人が作業することが当たり前であった製造技術をロボットに置き換えることに成功されています。
視察レポート ポイント③ 会社業務の隅々まで追求する社風
光洋陶器㈱の取り組みは、製造工程に留まりません。
対外部向けには、受注のEC化により業務改革をされました。取引先は、TELやFAXで問い合わせることなくECサイト上で在庫数や商品仕様の確認ができます。自社では、電話やFAXの応対業務が削減され、より専門的な業務に専念することができます。
対内部向けには、人事・労務のデジタル化をされました。出退勤・休暇の登録や管理、年末調整の届出・管理まで、クラウドサービスを利用し、一元管理されています。その他にも多数、デジタル化・ITツール導入をされている箇所が多くありました。
光洋陶器㈱の優れている点は、具体的なデジタル化の箇所や内容ではなく、生産性や付加価値の向上を目指して、会社業務の細部まで追求しようとする社風にあります。実現に向けて、多大な投資や多様なツール・システムを導入されていますが、それを利用しよう・達成しようとする姿勢こそ、見習うべきポイントだと言えます。
視察レポート 番外編 うつわの複合体験基地KOYO BASEをオープン予定
光洋陶器㈱では、今冬にうつわの複合体験基地KOYO BASEをオープンされます。KOYO BASEでは、カフェダイニング・ショップ・ワークショップ・工場見学の4つの楽しみ方が提供される予定です。食器メーカーが取り組む「食」にまつわる施設です。ぜひご利用ください。
http://koyobase.com/
DX・デジタル技術活用の相談は多治見商工会議所まで
今回は、光洋陶器株式会社での取組みをご紹介しました。光洋陶器株式会社の、生産性・付加価値の向上を追求されている企業姿勢を参考に、事業にお役立ていただければ幸いです。
多治見商工会議所では、デジタル化・業務効率化などに取り組まれる事業者の支援をしております。新たに取り組まれたいこと、お悩みございましたら、ぜひ多治見商工会議所までご連絡ください。
取材先
光洋陶器株式会社
〒509-5142 岐阜県土岐市泉町久尻1497番地3
TEL (0572)55-5411
FAX (0572)55-1656
https://www.koyotoki.co.jp/
執筆担当
多治見商工会議所 経営支援員 木次(コツギ)