陶磁器製造業 ㈱丸朝製陶所の広報活動「クラウドファンディングで、自社を知ってもらう。」
昨今は、社会情勢や消費者行動などが急激に変化し、その変化に対応することが求められます。自分自身や従業員・組織が、変化に対応する・挑戦する力を持つことが重要になりますね。
市内の事業者で、新たなことに挑戦を続けている事業者の取組みをご紹介します。今回は、過去に6回もクラウドファンディングに参画された経験を持つ、株式会社丸朝製陶所の松原圭士郎社長に話をお聞きしました。
-クラウドファンディングを始めたキッカケは?
個人の方から「オリジナルの製品を作りたい」とご相談いただいたことがキッカケです。お話をいただいた時点では、クラウドファンディングを利用する想定はしていませんでした。
初めて利用したクラウドファンディングサービスはKICK STARTERですが、KICK STARTERが日本向けのサービスを始める前のことでした。今ほどクラウドファンディングが浸透していませんでしたので、全く検討が付かない中での挑戦でした。クラウドファンディングを利用することは、先方から持ちかけていただいたことでしたが、その時に臆せず挑戦してよかったと思っています。
-クラウドファンディングは、どのようなポイントで役に立ちましたか?
自社を知ってもらう、という点で役に立ちました。弊社の事業は、陶磁器製品のOEM生産に特化しています。これまでデザイン会社や作家が主体となって行うクラウドファンディングに参画してきました。取り組みの甲斐あって、「クラウドファンディングで他社とタイアップしているから、私達も依頼できるだろう」と、弊社への発注のハードルが下がったようでした。
正直、クラウドファンディング単体で大きな利益は上がりません。むしろ、支援者とオンラインで交流するなど、支援を得るための活動まで必要であり、中々大変だったりします。クラウドファンディングは弊社にとって、広報活動の意味合いが強いです。別の受注に結びついて初めて、実を結ぶ活動だと思っています。
-自社主導のクラウドファンディングではないのですね?
そうですね。製品メーカーの立ち位置で参画してきました。弊社が主体となって、「自社製品に対する出資を募り世に評価を問う」という使い方はしていません。
弊社は、OEM製造に特化しています。弊社らしさを知っていただくためには、クラウドファンディング企画の実現を支えるメーカーとして着目してもらうべきだと思っています。なので、メーカーが㈱丸朝製陶所だと明記していただくことは、絶対の条件にしています。
-その他にこだわっている、注意しているポイントはありますか?
断らないことですね。これは、クラウドファンディングに限ったことではなく、こだわっていることです。依頼主のご要望の実現に向けて対応することが、OEMメーカーとしての役割だと思っています。
弊社は、この地域に多数ある他社メーカーとは違って、自社内でのデザインや企画が不得手なんです。その理由は、自分自身の経歴に意匠や造形の経験がないからなのですが。OEMやクラウドファンディングの発注元には、ある意味、弊社の欠点を補ってもらっているように思います。なので、断らずに対応することが大事だと思っています。
-最後に、他社でも活かせるポイントを教えて下さい。
私は、未来工業の山田昭男さんの「他のやらないことをやる」という考え方に共感しています。これは、他社と比較して自社の立ち位置を考えることだと思っています。
弊社はOEMに特化しています。弊社を知ってもらう・理解していただくためのツールとして、クラウドファンディングは最適だと思っています。このように「自社のこだわりや強みが伝わる方法を利用して自社を知ってもらう」という考え方は、他社でも活かせるポイントではないでしょうか?
掲載企業について
株式会社丸朝製陶所
代表取締役 松原圭士郎
〒507-0811
岐阜県多治見市星ケ台3丁目8
TEL:0572-22-8287
取材・執筆:経営支援員 木次拓美